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家から出ずとも、陽の光に春を感じる。
朝カーテンを開けると、庭が明るく照らされ嬉しくなる。
草花や木々も、新芽を出して、のびゆこうとしている。

僕は植物が好きだ。
それで、庭で植物を育てている。育てているというか、種を撒き、水をやり、ただただ眺めている。

鶏を何年もただ眺めて、ある日突然描いたと言われる伊藤若冲のことを、ふと思い出す。

僕は植物を通して、一日として同じ日はないことを教わる。そして今、ここが、宇宙の一部なんだと知る。
陽に向かい広げる葉を見て、眩しくて直接見つめることのできない太陽を見つめることができる。しなる枝を見て、目には見えない風を見つめることができる。秋になると葉を落とし自ら足元の土を育てる。そんな大きな大きな宇宙のサイクルをただ眺める。きっとこれは、文明なんかが生まれるずっと昔から続くリズムなのだと思う。

それから、うちには猫がいる。彼はとても自分に懐いてくれているが、家の中でも時折、しっかりとした野性を見せてくれる事がある。それが、とても美しい。

こういった原始的な美しさに言葉は追いつかない。まして絵で「再現」しようとしてみたところでとても届かない。(もちろん学べることは大いにあるが)

水が流れる。
本当はそのままで、ほんとうに素晴らしい。
普遍的な美しさを再現ではなく、なるべくそのまま画面上に捕まえる。

自分の制作は、そうありたいと考えている。